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新型コロナウィルス「感染者数」への疑問

世界中に混乱を招いている、新型コロナウィルス(COVID-19ウィルス)。日本でも世界でも、メディアは、刻一刻と増え続ける感染者数を伝え、この「未知の脅威」を訴えている。この数週間は、例えばテレビのニュース番組の中で、新型コロナウィルス関連のニュースが占める割合は、とても高くなっている。

しかし、この「感染者数」というデータを伝えることに、いったい、どれだけの意味があるのだろうか?

まず、感染者数をどうやって知るのか、という疑問がある。あたり前のことだが、感染しているかどうかは検査しなければわからない。新型コロナウィルスの検査を受けている人が少ない現状で、正確な感染者数がわかるはずがない。とりわけ、検査体制の構築が進まず、なかなか検査数が増えない我が国では、当然、見つかる感染者数も少ない。


「感染者数」という絶対数ではなく、検査した人のうち陽性だった人を示す「感染者率」なら、多少は真実に近いかもしれない。しかし、医師や医療機関が、この人は新型コロナウィルスの検査を受ける必要がある、と判断するのは、外見から新型コロナウィルスに感染している可能性が高い人が優先される。つまり、検査を受ける人々は感染している確率が高い人たちだから、感染率は実際より高めに出るだろう。

([3月24日追記]例えば、3月23日時点の兵庫県のデータ(stop-covid19-hyogo.org)では、検査実施数1607人に対し、感染者111人。感染率は、111/1607=約7%、100人中7人が新型コロナウィルスに感染していることになる。これは実感よりかなり高い数値ではないだろうか。)



それでは「致死率」はどうか。下の表は、Coronavirus: Real-time News Updates and Data に掲載されている、2020年3月21日時点の各国の感染状況のデータだ。致死率(Mortality Rate)は各国でおおきなばらつきがある。地理的にも人種的にも近い、同じアジアの国で比較してみても、韓国(1.16%)台湾(1.31%)は致死率は1%強なのに対し、日本(3.48%)、中国(4.02%)は3%から4%。3倍もの違いがある。

この違いは何を意味しているのだろうか?日本や中国は医療が遅れている、あるいは医療崩壊が起きているのか?日本人や中国人は、遺伝的・環境的に、韓国人・台湾人よりも新型コロナウィルスに対して脆弱なのか?その真偽を判断するデータはないが、日本の医療レベルや、同じルーツをもつ民族であることを考えれば、どちらの理由も根拠はなさそうだ。

([3月24日追記]同じく、3月23日時点の兵庫県のデータ(stop-covid19-hyogo.org)によると、病床数212床に対し、入院感謝は96人。まだ医療崩壊が起きる状況ではなさそうだ。)

(3月25日追記 しかし、県下の病床数数百、というのは何とも心許ない。二週間入院なら1日二十人の入院でパンクだ)


もっとも自然で論理的な推測は、実際の致死率は国によって大きなばらつきはない、すなわち、現在、公表されているデータから計算した致死率は正しくない、ということだろう。さらにその不正確さの原因を推測すると、致死率の分母である、感染者数のデータが正しくない、ということになるだろう。感染者数のデータが、実際の感染者数より小さければ、致死率は実際より高くなってしまう。検査体制が整い、より多くの人が検査を受けられるようになれば、データとしての感染者数は増加し(=実際の感染者数に近づき)、致死率は下がっていく。


(致死率の分子である「新型コロナウィルスに感染して死んだ人」についても、すべてが把握されてはいないだろう。しかし、今、肺炎で死んだ人がいれば、新型コロナウィルスにかかっていたかどうかを検査する確率はかなり高いだろうから、分子の「新型コロナウィルスによる死者」は、分母の「感染者数」に比べれば、より実体に近いと考えられる。)


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比較的致死率が低い韓国・台湾でも、すべての人が検査されているわけではないので、実際の感染者数はもっと多いだろう。新型コロナウィルスの検査手順は標準化・効率化されていないので、例えばインフルエンザに比べて、把握できている感染者数データは、実際より少なめにでている可能性も高い。すなわち、新型コロナウィルスの実際の致死率は、さらに低くなる。



以上のことを考えると、新型コロナウィルスの感染者は、公表されているデータよりはるかに多く、致死率はもっと低いと推測される。検査体制が確立されれば、致死率はおそらく1%以下になるのではないだろうか。これは、SARS(9.6%)やMERS(34.4%)に比べると、かなり低い数値だ。

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朝日新聞 2020/1/22の記事「新型肺炎で識者「SARSより感染力・毒性弱そうだが」」より転載)


新型コロナウィルスの「感染力」が強いことは間違いない。今日時点で、新型コロナウィルスの感染者は世界で30万人を超えている。しかし、ウィルスに感染すること自体は何も問題ではないのだ。私たちは日々、数多くのウィルス(その多くは名前もついていない)を体に取り込み、「感染」している。ただ、そのほとんどは人体に影響を及ぼさないから、問題ではないのだ。新型コロナウィルスも、多くの人にとっては害はないのだから、必要以上に恐れることはない。今まで経験してきたインフルエンザ、麻疹や風疹と同じように対峙すればいいのではないだろうか。

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