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ザーサイの消費量から人口の変化を推定する:ザーサイ・インデックスとは?

http://www.ediblegeography.com/the-pickle-index/
中国政府は、2020年までに、現在地方に住む2億5000万人の農民を都市に移住させる計画を打ち出している。この施策のために、人口移動を計る新たな指標が開発された。それが、「ザーサイ・インデックス」だ。


南華早報によると、国家発展改革委員会は各地域のザーサイの消費量が人口移動の良い指標になることを発見したという。匿名の政府関係者は言う。
「インスタント・ラーメンやザーサイの郊外での消費はほぼ一定です。すなわち、これらの量の変化があれば、人口移動によるものだ、と考えられるのです。」

13億人以上と言われる中国の人口だが、実際のところ政府の統計データは整理されていないし、今後おきるであろう膨大な人口移動を把握する手段もない。そんな信頼できないデータを使うよりは、「ザーサイ・インデックス」を使うほうが正確だ、と言う判断だ。


中国国内最大のザーサイ製造会社、チョウンギン・フーリン・ザーサイ(重庆市涪陵榨菜集团)は、ザーサイの売上が、珠江デルタや長江デルタ地域の政府統計と良い一致を示した、と述べている。

中国の行政事情はよくわからないが、「ザーサイ・インデックス」を、けっしてレベルが低い分析手法だと笑うべきではない。ザーサイでも、コーンフレークでも、食パンでも、目的にあった精度の評価ができるのなら、真面目な統計調査を行うより、はるかに効率のよいデータ分析になるかもしれない。「ザーサイ・インデックス」は、GoogleAmazonなどが行っていることと変わらない、現代のデータサイエンスなのだ。

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