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Atlas in Silico

http://www.atlasinsilico.net/gallery.html
"Atlas in Silico"と言うインタラクティブな映像作品があります。"Atlas in Silico"とは直訳すると「コンピュータの中の地図帳」と言う意味ですが、実はこの作品、微生物の遺伝情報情報を可視化したものです。
"Glabal Ocean Survey"と言う研究プロジェクトで収集された世界中の海洋微生物の遺伝情報がデータベースとして公開されています("CAMERAプロジェクト)。"Atlas in Silico"は、このデータを元に、微生物の遺伝情報とその発見された場所を視覚化したもの。黒闇に青く光るパーティクルがひとつのデータを示し、それらが動きながら描くパターンは規則的でもあり、ランダムにも見える、通常のアート作品とは違う「奥深さ」を感じます。
"Atlas in Silico"では新しい入出力デバイスも使われています。視聴者を半円状に取り囲む多数のモニターの壁は"Varrier"と呼ばれる、巨大なTiled Displayです。視聴者の動きをカメラによって捕らえ、その動きに反応して映像を操作したり、さまざまな情報を表示することが可能になっています。
"Atlas in Silico"の抽象的で幻想的な表現は一種のメディアアート作品と言っても良いかもしれません。しかし、ベースにあるのが科学的なデータベースであると言う点で、サイエンスメディアのひとつの方向性を示している作品かもしれません。

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