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サイエンスメディアな日々   インフォグラフィクスな日々

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クラウドファンディングによるビデオジャーナリズム:Vourno

https://www.vourno.com/
世界初のクラウドファンディングによる映像ニュース・プラットフォーム、"Vourno"が正式運用を開始した。制作者(Vourno)がプロジェクトの内容や必要資金を提示し、出資者(Pub)は支援したいプロジェクトに出資するというスタイルは、他のクラウドファンディングと変わらない。しかし、映像ニュースに特化していることと、完成したニュースの配信サイトも兼ねている点が、KickStarter等の汎用的なクラウドファンディングにはない特長になっている。ちなみに、"Vourno"(「ヴァーノ」または「ヴァルノ」と発音する)は、"Video"と”Jounalist"を組み合わせた造語である。

"Vourno"が目指すのは、ヴァーノ(映像制作者)とパブ(出資者)が協力しながら作る、新しい映像メディアだ。その活動を促すプラットフォームとして工夫されている。

制作者であるヴァーノはサイトに登録し(Facebookアカウントでのサインインも可)、ニュースプロジェクトの計画をサイトに公開する。概要や必要資金といった情報に加えて、プロトタイプ的な映像(いわゆる「ビデオコンテ」)を作ることも推奨されている。明瞭なテーマ設定とわかりやすいイントロ・エンディングにする、公募期間中はプロモーションに力を入れ露出を増やす、等のアドバイスもサイトに書かれており、リアルな世界で映像制作者がメディアに対して売り込みを行う、「ピッチイベント」のオンライン版と言った雰囲気だ。
https://www.vourno.com/

一方、パブは、ヴァーノが掲載したニュース・プロジェクトの中から気に入ったものに出資する。最低出資額は25ドルで、50ドル〜(Associate Pub)、100ドル〜(Senior Pub)、125ドル〜(Executive Pub)とランクが上がる。50ドル以上出資したパブの名前は、映像クレジットに掲載する。

これら出資額の選択肢は、従来の映像制作予算に比べればはるかに低い。パブにとっては敷居が低く、普通の市民でも参加しやすい。ヴァーノ側は多数のパブを集めなければ十分な予算は集まらないので、結果的に多数の市民がサポートするプロジェクトになる。ここに、"Vourno"の目指す方向性が現れている。

Vournoを立ち上げた背景には、現状のジャーナリズムへの危機感がある。「取り上げるべきテーマが取り上げられていない」「同じ内容を繰り返す(Repeat)だけで、取材(Report)とは言えない」「確固たる編集規準がない」「市民の声が反映されない」。そのような危機に陥っている現在のジャーナリズムを、Vournoで変えたいと言う。(詳しくは、Vournoのサイトにある動画を見てほしい)
https://www.vourno.com/

キックスタータやハフィントン・ポスト等の例を挙げるまでもなく、様々な分野でインターネットを土台にした新しい民主化の波が生まれている。この波は、過去何百年にわたって作られてきたしくみや方法を、破壊的に変革するかもしれない。この波に乗るか、あるいは逆に、流されてしまうのか。今、その分かれ目に来ている。

市民参加型の新しいメディア、"Vourno"は、この新しい波を加速するプロジェクトになるかもしれない。

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