以前、インフォグラフィクスの代表例として、Harry Beckのロンドン地下鉄路線図(1933)を紹介しました。
Harry Beck氏は英国内で活躍しただけでなく、1951年にパリの地下鉄路線図も作成しています。水平・垂直と45度に単純化された線路、等間隔に配置された駅など、基本的にはロンドン路線図と同じアプローチの、Beckらしいインフォグラフィクスです。
しかし、パリの人々はBeckの路線図を気に入らず、結局は使われなくなったそうです。
なぜパリではうまくいかなかったのでしょうか。
Mark Obenden氏のブログでは、パリジャンは昔から地形図を好んで利用していたこと、約23度傾いているパリジャンになじみの主路線が、水平・45度と言う簡略化にそぐわなかったこと、等が理由として上げられています。
ビジュアリゼーションでの適切な簡略化は、普遍的な理屈では決められないのですね。それを使う人の歴史的、文化的背景も踏まえなければならない、非常に奥深いものであることを示す事例です。