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緊急地震速報の弱点を改善する:同時多発型地震への対応

昨年3月の東日本大震災の後、緊急地震速報の誤報が増加している。震災前の誤報(実際の震度と地震速報の予測が2以上異なっていたイベント)の割合は3割程度だったのに対し、震災後は倍の6割以上に跳ね上がったのだ。そのほとんどは過大な予測、すなわち、緊急地震速報は大地震が来ると言ったが実際にはたいした地震ではなかった、と言うケースだ。
安全側の通知なら誤報でも良い、と思うかもしれないが、緊急地震速報が発令されると主要な交通機関や社会インフラの多くは運用を停止しなければならない。このため、過大な誤報でも、社会へ与える影響は非常に大きいのだ。

誤報の原因は計算方法にある。現在の計算では震度系の揺れのデータから、震源を「ある一点」と仮定して震源の場所や規模を求める。この方法では、大震災の後の余震のような、別々の場所でほぼ同時に発生する「同時多発型地震」に、現在の緊急地震速報は対応できないと言える。大震災の余震が続く中、緊急地震速報の改良は急務の課題だ。

改良研究のひとつとして、京都大学防災研究所の山田真澄助教の研究をサイエンスニュースで取材した。山田さんのアプローチは、地震計のデータを使って各点の評価パラメータを求め、震源として確率の高い場所を徐々に絞り込んでいくもの。この方法なら最初に震源の数を仮定しなくても良いため、同時多発側地震への対応で優れている。計算時間も現在のものと同等だそうだ。

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