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インターネットでの「協業」の可能性〜Aaron Koblin氏の実験的プロジェクト

http://youtu.be/4v4XxlfVk3o

コンピュータとネットワークを使った新しいビジュアリゼーションを開拓するトップランナーの一人が、Aaron Koblin氏です。このブログでもKoblin氏の作品をいくつか紹介しました。技術的な先駆性とアイデアの独創性、洗練された芸術性、すべてにおいてロールモデルとなるクリエイターです。
Koblin氏について知りたいなら、最近公開されたTED TALKの映像がおすすめです。

これを見ると、Koblin氏が追い求めているのは、インターネットを使った新しい「協業」の姿だと言うことがわかります。例えば、

  • "Sheepmarket.com"は、インターネットを使った人々の協業の実験的プロジェクトです。AmazonMechanical Turkを使って、「2セントの報酬で左向きの羊」を書いてもらう。これをスタンプセットにして?オンラインで販売する、と言うもの。
  • ユーザの声のデータを集めて音楽を作るプロジェクトが、"Bycicle Built for Two"。オンライン協業によってユーザの声のデータを録音してもらい(その時点ではユーザは目的を知らない)、それらの音声データを組み合わせて"Daisy Bell"を演奏すると言うもの。("Daysy Bell""Bycicle Built for Two"は世界で初めてコンピュータが歌った歌の名前。映画「2001年宇宙の旅」でHAL9000も歌っている。)
  • "Sheepmarket.com"を発展させて、オンライン協業でミュージックビデオを作ってしまおうと言うのが、"The Jonny Cash Project"。毎秒8フレームのベース映像を下絵に、ユーザに各フレームを描いてもらい、それらを集めて映像を作る。様々な「テイスト」を選択して演奏することもできる。

Koblin氏の一連の実験的プロジェクトを見ると、インターネットによる協業が近い将来、新しい文化や社会活動を産み出すのではないか、と言う予感がしてきます。世界中のあらゆる人が直接つながることがパラダイムを変革する。それは決して空想ではないでしょう。

Koblin氏は、Tweetを引用して曰く、「19世紀は小説の時代、20世紀は映画の時代、そして21世紀はインターフェースの時代」。

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