赤方偏移とは、高速に遠ざかる物体から放たれる光の波長が長くなる現象のこと。要するに、ドップラー効果の光版だ。光の波長が長くなると光の色が赤色側にずれるので、赤方偏移と呼ばれる。赤方偏移を観測すれば、宇宙の星々や銀河が遠ざかる速さがわかり、そこから距離が推定できる。
西オーストラリア大学のPaul Bourke教授は、2001年から2006年にかけて約12万個と言う大規模な赤方偏移の観測を行った。この研究プロジェクトは「6df銀河調査(6df Galaxy Survey)」と呼ばれ、その目的は主に「南半球」の恒星地図作りと、銀河の質量の計測だ。それまでの観測(そちらは2dfプロジェクトと言う名前)より8倍詳しいデータが得られたという。
観測結果をもとに見事な映像がVimeoにアップされている。私たちのまわりの星々を見ながら銀河を抜け、他の銀河団を通過し、宇宙の果てまで旅行する。2分半ほどの映像だが、観測に基づいた可視化ならではの迫力がある。この映像をプラネタリウムの3D映像で見たら、すごい迫力だろう。(Vimeoの映像はドーム用にレンダリングされているので、すでにどこかで上映されていると思われる。)
最先端の科学と最高峰の表現手法のコラボレーションでできた"6df Galaxy Survey"は、科学研究のアウトリーチ・コンテンツの大変良いお手本だ。