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DDoS攻撃を可視化する:DDos on the VideoLAN

サイバー攻撃の可視化では、情報通信研究機構NICTERDAEDALUS(ダイダロス)が有名だ。おそらくこの種の可視化では世界の先駆者だと思う。しかしもちろん、サイバー攻撃は日本だけの問題ではない。世界共通の重大な脅威になっている。

上の映像は、ウェブサイトログ可視化システム、longstalgiaを使って、今年4月23日におきたVideoLANへのDDoS(Distributed Denial of Service)攻撃の様子を可視化したものだ。VideoLANは、フリーの動画再生プレーヤー"VLCプレーヤー"を開発・提供するオープンソース・プロジェクトである。

映像では、VideoLANのサーバーに対し、多数のアドレスから通信の「集中砲火」がおきていることがわかる。発信元は、悪意あるハーダーによって密かにボットを仕込まれた、不特定多数のPCたちだ。ハーダーは侵入させたボットを操って、特定のコンピュータに向けていっせいに通信をしかける。大量の通信を受けたサーバーはボットからの通信とは知らずにひたすら返信するが、やがて処理がおいつかなくなりダウンしてしまう。これが、DDoS攻撃だ。

一方、こちらが平常時のサーバーログの可視化。上の映像に比べ、トラフィックが落ち着いていることは一目瞭然だ。


サイバー攻撃はますます増加、深刻化し、現代社会の脅威の一つになっている。技術を悪用するのが人間なら、それを防ぐための技術開発を行っているのも人間だ。技術はあくまでも中立であり、すべての問題はそれを使う人間の側にあることを、忘れてはいけない。

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