先日このブログで、古地図のデジタルデータをオンラインで公開するニューヨーク公立図書館(NYPL)の取り組みを伝えた。そして「日本も早く取り組まないと、また後追いになってしまう」と書いた。しかし、それは悲観的すぎたようだ。日本でもNYPLと同じような取り組みが、少なからず行われている。
そのひとつが、先日、上田市マルチメディア情報センターが公開した「上田城 城下町絵図アーカイブ」だ。このサイトは、歴史的にも貴重な上田城や城下町の古い絵図を、世界中の人々にむけて公開している。5枚の古地図は、古紙の変色まで十分わかるくらい高解像度なのがうれしい。
ただ古地図をみるだけでなく、Googleマップに古地図を重ねて見ることもできる。これはニューヨーク公立図書館のアーカイブスと同じだ。上田城跡のインタラクティブ・コンテンツもある。
上田城アーカイブは、ニューヨーク公立図書館のものに比べればはるかに小規模だ。しかし、けっして大きくない地方の組織が、だれでもアクセスできる状態で資料を公開したことは、素晴らしい成果だと思う。日本中の他の市や町も後に続いて欲しい。それぞれの地域がそこにしかない「財産」をどんどん公開していくようになれば、世の中は変わるはずだ。今まで存在さえしらなかった資料を、そのデータが公開され、利用できることで、考えもしなかった新しいビジネスや社会活動が生まれる可能性がある。
データの公開が何の役に立つのか?という人はかならずいるが、それは新しいことに取り組んだことがない人の意見だ。そんな意見が出るほど、未来の可能性は大きい。そして、それは何よりも、その地域に将来大きな恩恵をもたらしてくれる。