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サイエンスメディアな日々   インフォグラフィクスな日々

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「壁の向こう側」を見通せるカメラ

壁の向こうに何があるかを知ることができれば...。例えば入り組んだ機械の見えない部分、危険物を直接見ることができないような状況、あるいは戦争の1シーンなど、数々の場面でそんなニーズはあるだろう。不可能と思われていたそんな夢を実現してくれるカメラを、M.I.T.のカメラ文化調査グループ(Camera Culture Research Group)が発表した。

このカメラは、いわゆる"TOF (Time of Flight)"方式を応用した計測機器だ。"TOF"とは、カメラから発信された光子が、壁、対象物、再び壁と散乱して戻ってくるまでの時間を計測することで、物体の位置や形状を再構成するもの。病院に行くと超音波を使ったエコー検診と言うのがあるが、その「光版」と考えればよい。原理は簡単そうに思えるが、大きな課題のひとつは、高い時間分解能が必要なこと。このカメラでは、2ピコ秒の時間分解能を達成している。これは光が0.6mmしか進まないくらいの極小時間で、原理上、0.6mmの空間精度で物体を認識できることになる。
もうひとつは、散乱光は文字通り「散乱された」光なので、時間だけでは物体のどの部分から来たのかを推測することはできない。これを解決するために、レーザー光の発射位置を変えて、それぞれの計測時間から物体の位置形状を算出している。これはMRやCTと同じ技術だそうだ。

このカメラがあれば、壁の向こうにある危険を事前に察知できる!と期待してしまうが、現在は物体の形を計算するのに数分かかるそうで、まだ実用化の場面は限られそうだ。同研究グループでは、現在10秒程度で答を得るような改良に取り組んでいるとのこと。

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