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古地図のデジタルデータをオープンソース化:Open Access Maps at NYPL

http://www.nypl.org/blog/2014/03/28/open-access-maps
ニューヨーク公立図書館(New York Public Library: NYPL)が、所蔵する2万点を越えるの地図の高解像度デジタルデータをオンラインで公開する、と発表した。

地図データはNYPLのDigital Collectionsページで閲覧できる。また、Map Warperのページから無料でダウンロード可能。操作は少しわかりくいが、"View Map"で地図データを開き、上部の'Export'タブをクリックして、ダウンロードしたいファイルフォーマットを選択する、という手順らしい。高解像度データはTIFF形式で配布されているようだ。ダウンロード可能な形式にはKMLファイルもあり、Google Earth上にダウンロードした地図を重ね合わせて表示することもできる。


http://maps.nypl.org/warper/maps


今回公開される地図データのライセンスは、 "Creative Commons CC0 1.0 Universal Public Domain Dedication"となっている。これはいわゆる「パブリック・ドメイン」に相当し、配布者は地図データに関して著作権を保持せず、データ利用者は配布物(この場合地図データ)を自由に使用・改変してよいというものらしい。(クリエイティブ・コモンズについてはあまり詳しくないので、より正しい記述があれば、ぜひ教えて下さい。)


公共の財産を公開することは当然とはいえ、これだけの資料をデジタル化し、誰もがオンラインでアクセスできるようにするには相当の労力が必要だっただろう。実際、プレスリリースには、2001年から15年間かかって、いくつかのプロジェクトを経て現在のデータ・コレクションが完成した、と書かれている。データへのアクセスを容易にすることが必ず市民の利益になる、という信念が関係者に共有されているからこそ実現したプロジェクトだと思う。アメリカが様々な分野で世界をリードしている原動力は市民が共有する「オープン思考」にあるのではないか、と感じる。それぞれがもっているものをオープンにすることで、新しい化学反応が起き、より優れた何かが生まれる。

日本では機密や個人情報の保護ばかり話題になるが、早く動かなければまた「後追い」になってしまうだろう。

[2014.4.12改訂]

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